SDSNについて

SDSNは、2012年8月、国連の潘基文事務総長が
設立を発表したグローバルなネットワーク

 

1. SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)は、2012年8月、国連の潘基文事務総長が設立を発表したグローバルなネットワーク。研究機関や大学、企業、市民団体等が、世界の環境・社会・経済問題を解決し、持続可能な社会を実現するための最善の方法を明らかにして共有することを目的としている。本ネットワークは各国の企業や市民団体、国連機関やその他の国際組織の関係者と協働することによって、民間の知見を活用し、実践的な問題解決案を目指している。

2. 2015年9月の国連サミットでの策定に向け、「持続可能な開発目標(SDGs)」をめぐる国際的議論は近年目覚ましく進展している。持続可能な社会の実現という目標は、近年における日本にとって特に強い意味を持つものとなっている。高齢化や出生率の低下、地方産業の衰退、そして地方自治体の存続そのものを脅かす人口減少に歯止めがかからない等といった多くの問題を抱える日本社会は、2011年の東日本大震災という危機の直面により、強靭(レジリエント)な社会の重要性を強く認識するようになった。政府は、復興庁の設置期限を2020年度としており、それは地域創生を果たすために有効な手段を講じなくてはならない期限とも考えられる。また、2020年は東京オリンピック・パラリンピックの開催予定年でもあり、世界に向けて一定の成果を示すことが明確に求められている。そのためには今後、SDGsを国内で実施していく上でのより具体的で実践的な手法とビジョンが求められる。

3. SDSN Japanの設立によって、国連機構や国際機関の関係者と連携し、国際的な動向をフォローするだけでなく、研究機関や大学、企業、地方自治体、そして市民団体による自律分散型のネットワークを形成することによって、日本国内においてSDGsを実施していくためには、また最終的には持続可能な社会を実現するためには、どのような方法が必要であり最善であるかを明確にすることを可能とするものである。より地に足の着いた観点を持ち、実践的な知見を得るためには、学問領域を超えたインターディシプリナリー(学際)研究をさらに超えた、トランスディシプリナリーと称されるより多くのステークホルダーとの協働によるアプローチが必要とされると考えられ、SDSN Japanによって精力的に新たな学術的・実務的展開を図ることができると期待される。

4. 上述の点を踏まえ、この度SDSN Japanを設立する。

2015年7月28日


SDSN-JAPAN理事会

 

浜中裕徳

浜中裕徳

地球環境戦略研究機関(IGES)理事長

公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)理事長

1967年東京大学工学部都市工学科卒業。1969年4月厚生省入省、1971年7月環境庁創設と共に同庁に出向。その後、外務省出向(経済協力開発機構日本政府代表部)等を経て、1995年7月同企画調整局地球環境部長、2001年1月環境省地球環境局長、同年7月同地球環境審議官。2004年7月環境省を退職、慶應義塾大学環境情報学部教授に就任。20015年3月同大学大学院政策・メディア研究科非常勤講師を退任。2007年4月よりIGES理事長、現在に至る。
35年以上にわたり、環境省において地球環境政策の分野で活躍。特に、京都議定書とその実施ルールに関する政府間の交渉、2002年の持続可能な開発に関する世界首脳会議で同意されたヨハネスブルグ実施計画などの持続可能な開発分野の主要な合意、また、国際的な環境合意(特に京都議定書)を実施するための国家政策の作成に尽力。2006年から2008年まで京都議定書遵守委員会共同議長及び同委員会促進部議長。

武内和彦

武内和彦

東京大学教授、サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)機構長

国際連合大学 上級副学長

1974 年東京大学理学部地理学科卒業、1976 年同大学院農学系研究科修士課程修了。東京都立大学助手、東京大学農学部助教授、同アジア生物資源環境研究センター教授を経て、1997 年より 2012 年まで同大学院農学生命科学研究科教授。2012 年より同高等研究所サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)機構長・教授。2008 年より国際連合大学(UNU)副学長、2013 年1月より同上級副学長、国際連合事務次長補を併任。日本学術会議会員、食料・農業・農村政策審議会会長代理、国際学術誌 Sustainability Science (Springer) 編集委員長、なども務める。
専門は、緑地環境学、地域生態学、サステイナビリティ学。最近の著作には、「地球持続学のすすめ」(岩波ジュニア新書、2007年)、「生態系と自然共生社会」(共編著、東京大学出版会、2010 年)、「Satoyama Satoumi Ecosystem and Human Well-Being」(共編著、UNU Press、2013 年)、「世界農業遺産 -注目される日本の里地里山」(祥伝社新書、2013年)、「日本の自然環境政策-自然共生社会をつくる」(共編著、東京大学出版会)などがある。

花木啓祐

花木啓祐

東京大学教授、日本学術会議副会長

東京大学大学院工学系研究科教授、同サステイナビリティ学連携研究機構兼任教授

1980年に東京大学の博士課程を修了後、83年まで東北大学、タイ国アジア工科大学院(1985-87年)、東京大学(1983-85年、87年から現在まで)に勤務。研究領域はサステイナブルな都市域のための包括的環境管理である。上下水道の一体管理、都市活動からの温室効果ガスの排出抑制、都市熱環境の緩和、廃棄物管理を通じて環境負荷が低く生活の質が高い都市を形成することが研究目標である。
都市環境工学に関して書籍60編、査読付き論文210編を出版し、講演およびパネルディスカッションは214回である。2014年10月から日本学術会議副会長を務めている。世界科学者会議(ICSU)の都市と環境に関する科学委員会委員である。日本の環境科学会会長でもある。

鈴木佑司

法政大学教授

蟹江憲史

蟹江憲史

慶応義塾大学教授
国連大学サステイナビリティ高等所研究シニアリサーチフェロー

慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)シニア・リサーチ・フェロー

北九州市立大学助教授、東京工業大学准教授を経て現職。OECD 気候変動・投資・開発作業部会議長、Earth System Governance プロジェクト科学諮問委員などを兼任、欧州委員会 Marie Curie Incoming International Fellow 及びパリ政治学院客員教授(2009-2010)などを歴任。専門は国際関係論、地球環境政治。特に、気候変動やサスティナビリティに関する国際制度研究に重点を置き、2013 年度からは環境省環境研究総合推進費戦略研究プロジェクト S-11(持続可能な開発目標とガバナンスに関する研究プロジェクト)プロジェクトリーダー。

中口毅博

芝浦工業大学教授, 環境自治体会議事務局長

荒川博人

荒川博人

住友商事顧問

2014年4月、住友商事顧問に就任。 住友商事の前は、2008年から2013年までJICAにて上級審議役、理事として世界銀行、IMF、アジア開発銀行との政策対話や協調融資、さらにアジア諸国への開発援助などに取り組んだ。2007年には開発援助研究所所長を務め、その間気候変動のインパクト(特に海面上昇がアジアのメガ都市に与えるインパクト調査)に関する研究に取り組む。1999年から2008年まではJBICにて開発業務部長として開発資金協力の企画調整、開発1部長として東南アジアへの資金協力、さらに中国への資金協力などに取り組んだ。 1999年以前には、OECFの駐在員としてマニラ、デリー、さらにワシントンDCに駐在し開発の現場にて途上国の開発協力に従事した。ワシントンDC勤務時代には特に世界銀行、IMFなどとの政策協議、また1997年の東アジア通貨危機への対応として国際機関等との連携・調整に取り組んだ。
コロンビア大学のPEPM(Program on Economic Policy and Management)の外部評価委員として評価報告書執筆者の一人(1996-1999年)。 2007年から2013年までWorld Economic Forumに関与し、直近ではSDGsの策定に関わる Global Agenda Council on Poverty and Sustainable Developmentのメンバーとして、WEFの提言ペーパー(Paying for Zero)の執筆者の一人。2012年から2016年まで「国際経済研究協会」理事。2010年からは農水省の独立研究法人「国際農林水産業研究センター」の外部評価委員。

有馬利男

有馬利男

グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク(GC-JN)代表理事
富士ゼロックス株式会社イグゼクティブ・アドバイザー

国連グローバル・コンパクト ボードメンバー
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)代表理事

1967 年国際基督教大学教養学部卒業、富士ゼロックス入社。総合企画部長、Xerox International Partners (米国)社長兼 CEO を経て、2002 年に富士ゼロックス代表取締役社長に就任し、2007 年退任。2007 年より同社相談役特別顧問のほか、世界的課題である人権・労働、環境、腐敗の解決に企業が積極的に関与するよう賛同を求める「国連グローバル・コンパクト」のボードメンバーも務め、2008 年より現職。

末吉竹二郎

自然エネルギー財団(JREF)代表理事・副理事長、
国連環境計画・金融イニシアティブ特別顧問

黒田かをり

黒田かをり

一般財団法人CSOネットワーク事務局長

一般財団法人CSOネットワーク事務局長・理事

民間企業に勤務後、コロンビア大学経営大学院日本経済経営研究所、アジア財団日本の勤務を経て、2004年にCSO連絡会(現ネットワーク)に入職。日本のNGO代表としてISO26000(社会的責任の国際規格)の策定に参加。2010年よりアジア財団のジャパン・ディレクターを兼任。企業の社会的責任(CSR)に関する執筆や講演など多数、また企業へのアドバイザリー業務などを行う。現在、ISO持続可能な調達ワーキンググループ委員、さいたま市CSR推進会議委員、国際開発学会理事、企業と社会フォーラムの理事等を務める。日本評価学会認定の評価士。

長谷川雅世

長谷川雅世

NPO法人 国際環境経済研究所 主席研究員、
Future Earth関与委員会委員

トヨタ自動車株式会社 環境部 担当部長/フューチャー・アース 関与委員
NPO法人 国際環境経済研究所 主席研究員

関西学院大学社会学部卒、米国タフツ大学フレッチャー法律外交大学院国際関係論修士。1999年トヨタ自動車入社、現在、環境部担当部長。2014年よりフューチャー・アース関与委員、2015年よりNPO法人国際環境経済研究所、主席研究員。経団連WBCSDタスクフォース座長代理も務める。リオ+20に向けては、ビジネスと産業を代表して日本国内準備委員会に参画した。
前職は、笹川平和財団環境担当プログラム・オフォサー。また、慶応大学SFC研究所において、LEAD(環境と開発のためのリーダーシップ)ジャパン・プログラムのプログラム・ディレクターを務めた。

竹本和彦

竹本和彦

国連大学サステイナビリティ高等研究所所長(SDSN Japan事務局長)

国連大学サステイナビリティ高等研究所所長

2014年1月、国連大学サステイナビリティ高等研究所の初代所長として就任。
国連大学に奉職する前は、環境省環境管理局長や地球環境審議官として気候変動、生物多様性、越境大気汚染といった地球環境問題に関する国家戦略など、持続可能な社会実現に向けた政策立案に取り組んだ。
OECD 環境政策委員会副議長(2004-2007 年)、第 18 回国連持続可能開発委員会(CSD18)共同議長(2010 年)、生物多様性条約第10回締約国会議(CBD /COP10)の議長代行(2010 年)、国際応用システム分析研究所(IIASA)理事(2011 年より)などを歴任。
東京大学で博士号を取得。また、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際研究大学院(SAIS)にて国際公共政策修士号を取得。

about_img10

インターナショナル・アドバイザー

石井菜穂子

地球環境ファシリティ(GEF) 統括管理責任者(CEO)・議長

地球環境ファシリティ(GEF)CEO 兼議長

2012年6月から地球環境ファシリティ(GEF)の CEO 兼評議会議長を務める。前職の財務省副財務官在職中には、日本の国際開発金融政策や、気候変動や生物多様性等の環境問題に対する日本の地球環境政策を統括。また、緑の気候基金の創設に向けた移行委員会の日本代表も務めた。
主として国際畑を中心に勤務し、キャリアの半分を世界銀行や IMF など国際機関で過ごす。世界銀行スリランカ・モルディブ担当局長(2006~2010年)、同銀行東アジア局ベトナム担当プ ログラムコーディネーター(1997~2001年)、ハーバード大学国際開発研究所プロジェクトマ ネージャー(1996~1997年)、IMF アフリカ・アジア担当エコノミスト(1992年~1995年)、ハーバード大学国際問題研究所客員研究員(1984~1985年)等を歴任。
慶應義塾大学で持続可能な開発と環境について教鞭を執った経験もあり、サントリー学芸賞 (1990年)や国際開発研究大来賞(2004年)を受賞するなど執筆活動も多彩。第一回円城寺次郎記念賞受賞(2006年)。東京大学博士。

TO TOP

LINKS